脳内ホルモン(神経伝達物質)とストレス

脳内ホルモン(神経伝達物質)とストレス

元来、ストレスとは材料力学の用語で、バネを伸縮したとき内部に生じる応力のことでした。

カナダの生理学者ハンス・セリエは、何らかの刺激によって生体にもストレスが生じることを提唱しました。

適度のストレスはあった方がいい場合もあり、セリエ自身も「ストレスは人生のスパイスである」という言葉を残していますが、過度のストレスは生体に悪影響を及ぼします。

ラットに強い電気刺激というストレスを与えたときの脳の様子を観察したところ、視床下部・扁桃核・青班核などの部分にノルアドレナリンが大量に放出され、その結果、情動不安に陥ったラットが滅茶苦茶な行動を繰返すことが分かりました。

また、ドーパミン・ギャバ(γ - アミノ酪酸)なども多く放出されて、これらが神経細胞で最も大切なシナプスの働きを大きく損っていました。

このように、ストレスが長く続くとシナプスの働きが抑制されて神経細胞の網目を形成できなくなるため、情報の収集や整理が正常に行えなくなります。

人間が追い詰められると「頭が働かない」「頭の中が真っ白になる」状態になるのは、このような原因によります。

ストレスは脳の活動を阻害するだけでなく、血圧を上げたり心臓病や癌などの病気を引き起こしたりします。

ストレスのない生活を送ることは無理だとしても、最小限に抑えるための解消法を探しましょう。

精神分析学の父と呼ばれるジークムント・フロイトの「人は不快な記憶を忘れることによって防衛する」という言葉のように、全てを忘れて没頭できる趣味があると最適です。

水泳・サイクリング・テニスなどの運動や、競馬・競輪・競艇などのギャンブルや、旅行・遊園地・カラオケなどのレジャーなども有効でしょう。

国立音楽大学の村井 靖児教授は、ストレス解消にモーツァルトの弦楽四重奏「狩」を薦めています。
刺激として重くなく、軽やかな運動性があるのが、理由だそうです。

モーツァルトと言えば、北海道大学の澤口 俊之教授が「2 台のクラヴィーアのためのソナタ」を猿に繰返し聞かせたところ、空間的知能が大きく伸びました。

空間的知能とは、物体の位置や速度や他の物体との距離などを認識して、それに基づいた行動をする能力のことです。

他の作曲家の曲やモーツァルトの他の曲を流した結果、モーツァルトの K - 400 以降のピアノ曲が特に学習能力を高めました。