脳の働き

脳の働き

カリフォルニア工科大学のロジャー・ウォルコット・スペリーが 1981 年、「大脳半球の機能分化に関する研究」でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

死者の頭蓋骨を開いて脳を観察していた痕跡が、複数の古代遺跡で発掘されていたため、大脳が左右の対になっていることは古くから知られていました。

ただし、手や足なども左右 1 組ずつあることから、左右の脳も相互補完するものと考えられていました。

また、ほとんどの哺乳類は脳が左右の対になっていますが、猿は片方の脳を切除しても影響が少ないことからも、人間も同じであろう、と推測されていました。

しかし、スペリーは 1960 年頃から、てんかん患者の分割脳の実験を行っており、左脳と右脳の働きを発見したのです。

当時はてんかんの発作を抑えるために、手術で左脳と右脳を繋ぐ脳梁を切断することが多く、スペリーは患者に共通する反応に気付き、研究を始めていました。

スペリー以降、左脳と右脳の研究が盛んに行われるようになり、それぞれの働きが解明されました。

  • 左脳の働き
    • 右半身を制御し、右視野を認識する
    • 一般に、論理・常識・言語を司る
    • 普段、人間は左脳を使う
  • 右脳の働き
    • 左半身を制御し、左視野を認識する
    • 一般に、感性・独創性・大量の記憶を司る
    • 左脳の 100 万倍の記憶能力があると言われるが、その潜在能力を発揮できている人間はほとんどいない

脳の働きは、職業によっても異なります。

  • 棋士の脳の働き
    • 将棋を指しているときの脳波を測定すると、普通の人は左脳が活発に働いているのに対し、5 段以上の棋士では右脳の活性化が認められる
  • タクシー運転手の脳の働き
    • イギリスの認知神経学者のエレノア・マグワイアが、ロンドンの 24000 もの道路の網の目から最短経路を割出すタクシー運転手 16 名の脳を調べたところ、海馬が通常よりも大きく、職歴が長いほどその神経細胞も多かった
      • ロンドンでは、地理の試験に合格しないとタクシー運転手の免許が更新されない
  • キーボード奏者の脳の働き
    • 大脳の聴覚に関する領域の拡大が見られ、素人 < アマチュア < プロだった

左脳と右脳は、片方だけではなく両方をバランス良く使わなければなりません。

右脳の感性・独創性・大量の記憶を左脳の論理・常識に照らし合わせて、言語で説明する必要があるからです。

なお、左脳が右半身/右脳が左半身を支配しているため、左脳の機能が損なわれると右半身が思うように動かなくなったりします。

手や足に右利きと左利きがあるように、脳にも右利きと左利きがあり、右半身を制御するのは左脳なので、手や足が右利きであれば脳は左利きであることが多くなります。

現代人は左脳の方がやや大きく、手や足が右利きで脳が左利きの人が多いことと関連がある、とも言われています。